独り言も白く踊る夕暮れ時。
サイレンが、今日の日の終わりを そっと唄いだした。


この場所から見下ろす 錆びた町が好きだった。
誰もいない屋上。
貯水タンクで笑う 夕陽と君と僕。


真っ赤に冷えきった僕達は語り合う。

「何もかもが夕焼けだね。」
って言って君は 冬になった。

余りに突然の さようなら でした。

明日行きのバスに乗り遅れた君に
ただ、僕はおかしくなったんだ。

寒い冬が 僕の町に来たよ。
今年もまた 君を思い出すよ。

涙を流すにはとんだ昔話。
だから時々はこの場所で 君を待たせてね。

僕と 笑おうか?

寒い冬が 僕の町に来たよ。
今年もまた君を 思い出すよ。

寒い冬が 僕の町に来たら、
今年もまた 君に出会えるかな?

夕陽を背にして僕達は歩く。
真っ直ぐ伸びた ふたつの影法師。

僕の方が少し長いからって 拗ねたフリして早歩きする君。

鉄橋の下は電車のリズム。
轟音のどさくさに紛れて僕は叫んだ。

ちょっと驚いた 君の照れた笑顔は、
返事の代わりに 僕の手をギュって握ってくれた。

願い事が叶ったままで 僕たちは進めないんだ。
「じゃあ また 明日ね。」

独り言も白く踊る夕暮れ時。
サイレンが 今日の日の終わりを そっと唄いだした。